広島県竹原市にある街並み保存区は「安芸の小京都」と呼ばれ歴史的景観を維持する地区として保存されている。通りには伝統的な町家が連なっているが、それらは単に「趣ある家屋」というだけでなくそれぞれが立派な作りをしている。それは昔この地域が製塩業で富を産みその繁栄がこの街に現れていたからとされる。
保存地区を離れ海沿いへ向かうと、見慣れた田舎の風景が広がる。ここには保存という意識は介在せず、更新と維持が日常的に繰り返されている。海沿いまで出ると工業地帯が現れる。ここでは三井金属の精錬所など重工業の工場もあり、現代を特徴づける産業の場となっている。
竹原には、異なる時間と機能が併存している。保存された町並み、現在進行形の生活、そして産業の場。それぞれが分断されることなく、地続きで配置されている。
ここにあるのは、固定された景観ではない。
維持と変化が同時に進行している状態、そのものである。

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