きっかけは1枚目の写真を撮った時だった。2019年の雲ひとつない綺麗な空の日、歩きながらふと顔を上げたらこの光景が目の前にあった。特別な建築などではなく普通のマンションなのだが、条件が揃えばこんなに面白いものが撮れるのか、とその時は思った。それ以来建物の一部を記号的に切り取るのが好きになった。ポリシーは、雲をあとで消さないということ。なのでこれらの写真は屋内のもの以外は全て快晴の日に撮られている。
こういった写真は「ミニマルフォト」などと呼ばれているが、一見してわかるようにそれ自体には意味がない。これらは単に視覚として楽しむ為のものである。勿論何を撮ったのだろうかという想像を膨らませることも出来るが、それよりも単に記号的に並んでいるのを楽しんだり配置された色を楽しむものである(私の写真はほとんど色がないが)。
私は人間とは「意味のないものに意味を持たせる」行為が好きな生き物だと思っているが、これはその逆で「写真を通じて意味のあるものの意味をなくす」という行為である。